がんばれ!映画『ヤルク・フィキル』

東京在住のエチオピア人青年がメガフォンをとった!
昭和初期の華族令嬢とエチオピア王子の世紀の婚約話が映画に!
初の日本製アフリカ映画の完成を目指して応援するブログ

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ヤルク・フィキルとの出会い


シネマアフリカのミッションは、”アフリカ発のアフリカ映画”を日本へ紹介すること。そのためはるばる1万数千キロを行き来している訳だが、ふと気がつけば、身の回りにもアフリカ映画が生まれつつあることに気付き驚いた。

事の発端は、去年の初夏、在京のアフリカの友人たちに映画の紹介をお願いしていたところ、連絡を受けて会ったのがDawitさん。エチオピア映画の最近の状況を教えてもらうべく原宿でお茶をしたのだが、話を聞くうちに、自分で東京でも映画を撮っているという。

そして映画のテーマがなんと日本の華族令嬢とエチオピア王子の婚約話であるというではないか!アフリカ関係者の間では有名なこの話、これを映像化するならば、それはもう見なくてはなるまい!と思い、映画祭の準備を放り出して、まだ製作途中のものを見せてもらいに行った。

今だから告白するが、当初は、静止画像を多用したyoutubeによくあるようなビデオを予想していた(すみません...)。が、見せてもらったのは、再現ドラマなどが入った本格的なもので驚いた。確かに、構成には粗さがあるし日本文化への大いなる誤解も散見される。が、王子役の演技はプロ並みだし(←後にホントにプロと判明)、何か粗削りながら得体の知れないエネルギーを感じる作品だ。

「何かスゴいものを見てしまった」と思い、急遽、『ヤルク・フィキル』と一緒に何かできることはないかと考えはじめた。結局、映画祭のエントリー作品としてはまだ時期尚早なため、応援企画枠として上映をすることに決めた。芽生えつつある東京発のアフリカ映画をシェアし、観客から叱咤激励してもらうことが次の一歩につながるのではないかと考えた。

アフリカ映画が抱える問題の一つに、発表の機会がないということがある。作品は、観客に観てもらい、好評であれ批判であれ、反応を得てはじめて成長していく。その循環が成り立たない限り、アフリカ映画の未来は厳しい。弱小シネマアフリカは何の金銭的サポートもできないが、上映という機会の提供ならばできるし、それこそ映画祭の使命だろうとも思う。

聞けばDawitさんは、母国ではトップレベルの大学を卒業し、映像制作で生計を立てていたが、事情により日本へ来ることになったという。専門職ではない移民としての生活がどういうものかは想像に難くない。長い間、単純労働に就いてきたという。「母国では皿洗いも工場労働もやったことなかった!初めての体験だらけでビックリさ!」と明るく笑いながら話すが、どうしても『アフリカ・パラダイス』の世界を思い出さずにはいられない。

が、当人からは恨み節は全く聞いたことがない。ネガティブなことを言い出したらきりがない、と言う。そして、雅子嬢とアラヤ王子の話に惹かれたのは、日本とエチオピアのポジティブな側面を描いているからだという。「日本とエチオピアの両国でぼくは闇を見た。だからこそ、二つの国の光を描きたかった」という言葉が胸に刺さる。

学生時代から日本とアフリカを行き来して十数年、一人の人間の狭い範囲の体験ながら、私も数々の負の側面を見てきた。それでも光を描くことに焦がれる一人の青年の夢に、シネマアフリカもひと肌脱いでみようと思う

記:吉田未穂

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